労基法9条の労働者以外・使用者と親会社・元請負人に係わる判例一覧

労基法第9条の労働者以外の者
NHK西東京営業センター(受信料集金等受託者)事件(東京高裁平成15年8月27日判決)
「公共放送機関と受信料集金等受託者間の契約について、就業規則の定めがないこと、業務の遂行義務が労働契約にみられるような広範なものでないこと、業務遂行の具体的方法は自由裁量に委ねられていること、業務の代替性が認められていること、報酬の算出方法が出来高払方式であり、税法上の区分も事業所得として確定申告されていること等から、使用従属関係を認めることは困難な委任と請負の性格を併せ持つ混合契約としての性格を有するとした。」


藤島建設事件(浦和地裁平成8年3月22日判決)
「大工と住宅建築業者間の契約関係について、典型的な雇用契約関係ではないが、典型的な請負契約関係であったともいえず、請負契約の色彩の強い契約関係であり実質的な使用従属関係があったので、住宅建築業者は使用者と同様の安全配慮義務を負うとした。」


横浜南労働基準監督署長(旭紙業)事件(最高裁平成8年11月28日第一小法廷判決)
「トラックを所有し、自己の危険と計算の下に運送業務に従事していた者について、会社は、運送という業務の性質上当然に必要とされる運送物品等の指示をしていた以外には、業務の遂行に関し、特段の指揮監督を行っておらず、時間的、場所的な拘束の程度も、一般の従業員と比較してはるかに緩やかであったため、会社の指揮監督の下で労務を提供していたとはいえず、労働基準法上の労働者ということはできないとした。」


江崎グリコ事件(仙台地裁平成6年9月30日決定)
「運送委託契約について、期間の満了ごとに更新を重ねて、あたかも期間の定めのない継続的契約と実質的に異ならない状態で存続していたとした上で、解約の意思表示の効力を判断するに当たって、期間の定めのない継続的契約の解約の法理を類推した。」


山崎証券事件(最高裁昭和36年5月25日第一小法廷判決)
「証券業者と外務員間の契約により、外務員が業者の顧客から株式その他の有価証券の売買等の注文を受けた場合、これを業者に通じて売買その他の有価証券取引を成立させるいわゆる外務行為に従事すべき義務を負担し、業者がこれに対する報酬として出来高に応じ賃金を支払うこと及び外務員による有価証券の売買委託を受理すべき義務を負担しているときは、業者による契約解除につき労働基準法第20条の適用はないとした。」


使用者と親会社・元請負人
大石塗装・鹿島建設事件(福岡高裁昭和51年7月14日判決)
「請負人の被用者たる労働者と注文者との間に、実質上、使用者・被使用者の関係と同視できるような経済的・社会的関係が認められる場合には、注文者は請負人の雇傭契約上の安全保証義務と同一内容の義務を負担するとした。」


センエイ事件(佐賀地裁武雄支部平成9年3月28日決定)
「黙示の労働契約が成立するためには、社外労働者と受入企業の使用従属関係を前提にして、実質的にみて、社外労働者に賃金を支払う者が受入企業であり、かつ、当該労働者の労務提供の相手方が受入企業であると評価できることが必要であるとした上で、派遣先と派遣労働者の間で黙示の労働契約が成立したとした。」


黒川建設事件(東京地裁平成13年7月25日判決)
「外形的には独立の法主体であるものの、実質的には事業の執行・財産管理等の極めて制限された範囲内でしか独自の決定権限を与えられていない会社について、法人格否認の法理が適用される結果、親会社とその代表取締役は、子会社が退職者に対して負う未払賃金債務及び退職金債務について、子会社とは別個の法主体であることを理由に、その責任を免れることはできないとした。」


労働契約・紛争解決の方法
インターウォーブン・インク事件(東京地裁平成16年1月26日判決)
「雇用関係に関連した紛争が生じた場合すべての紛争をカリフォルニア州においてアメリカ仲裁協会によって行われる仲裁によって終局的かつ専属的に解決する旨の合意について、カリフォルニア州法を準拠法とした上で無効となるものではないとし、かつ日本の仲裁法附則第4条の趣旨に反することもないとした。」